富士ヒノキの香りは、目に見えないけれど、場の雰囲気を変えてくれます。 富士山の麓の森で育った木の香りが、実習授業の教室に届き、そこからまた新しい商品へと生まれ変わっていく。 それはとても静かで、でも確かな循環のように感じました。
森から届いた、香りの授業
木の香りは、地域を知る入り口になる。
静岡県立富士特別支援学校 富士東分校のサスティナブル班のみなさんと一緒に、富士ヒノキを使ったキャンドルづくりを行っています。
まずは、富士ヒノキがどんな木なのかを知るところから。
富士山の麓で育つ富士ヒノキは、火山灰の多い土地でゆっくりと育つ木です。成長に時間がかかるぶん、木目が細かく、白く美しい木肌を持っています。
今回は、その富士ヒノキから抽出されたオイルの香りも、実際に嗅いでもらいました。
すっと深呼吸したくなるような、清々しい森の香り。
富士山の自然が、ふわりと教室に届いたような時間です。
手を動かして、香りを形にする
小さなキャンドルの中に、森の記憶を閉じ込める。
キャンドルづくりは、2年生・3年生の生徒さんたちと一緒に行いました。
今回作ったのは、ティーカップに入った小さなキャンドル。
まずは、コットンの芯をちょうどよい長さに切り、カップの中心にセットします。
そのあと、ソイワックスを溶かし、富士ヒノキオイルを加えていきます。
ソイワックスは、溶けるのが早い分、固まりはじめるのも早い素材です。
そのため、芯をセットする、ワックスを溶かす、香りを加える、カップに注ぐ。
ひとつひとつの作業の順番がとても大切になります。
作業の流れを確認しながら、みんなで集中して進めていきました。
教室いっぱいに広がる、富士ヒノキの香り
香りが広がると、空気までやわらかくなる。
ソイワックスに富士ヒノキオイルを入れると、
教室中にほんのりとヒノキの香りが広がります。
強すぎる香りではなく、森の中にいるような、落ち着いたフレグランス。
手元ではキャンドルが少しずつ形になり、空間には富士ヒノキの香りが満ちていく。
ものづくりの時間でありながら、どこか深呼吸したくなるような、やわらかい空気が流れていました。
香りは、目に見えないけれど、場の雰囲気を変えてくれます。
富士山の麓の森で育った木の香りが、学校の教室に届き、そこからまた新しい商品へと生まれ変わっていく。
それはとても静かで、でも確かな循環のように感じました。
パッケージまで仕上げる、ものづくりの実感
最後まで手をかけると、“自分たちで作った”になる。
今回の分析で見つかった成分の中にも、
実習授業では、キャンドルを作るだけでなく、パッケージの作業まで行います。
ティーライトキャンドルを入れる箱には、富士ヒノキのかんなくずを敷きました。
まるで小さなお布団のように、ふわりとキャンドルを包みます。
素材を入れる。
キャンドルを置く。
形を整える。
パッケージとして仕上げる。
ソイワックスを溶かすところから始まり、香りを加え、固め、最後に箱に収めるところまで行うことで、ただの作業ではなく、「ひとつの商品を作り上げた」という充実感が生まれます。
富士ヒノキの香り、かんなくずの質感、ティーカップキャンドルの佇まい。
それぞれの素材が組み合わさって、富士山の麓らしい土産物になっていきます。
それはとても静かで、でも確かな循環のように感じました。
地元の素材を知ることが、森を守ることにつながる
富士山の麓の森からやってきた素材を使い、ひとつのお土産物を仕上げる。
この実習を通して、生徒さんたちには「地元には、こんなに魅力的な素材があるんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。
富士ヒノキは、ただの木材ではありません。
香りになり、フレグランスになり、キャンドルになり、誰かの暮らしの中へ届いていく素材です。
富士山の麓で育った素材を、同じ地域の中で活かしていくこと。
そのものづくりを通して、富士山の自然環境や森林資源について知っていくこと。
それは、地域の中に小さくて居心地のいい循環を生み出していくことにもつながります。
富士ヒノキの香りをきっかけに、森のこと、地域のこと、そして自分たちの手で作ることの楽しさを感じてもらえたら。
小さなキャンドルの灯りの中に、富士山の麓の森の記憶が、そっとともります。
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